コンプライアンス ─ 改正消費者契約法(「過量契約」の取り消し)

2016年8月中旬以降、株式会社ピーシーデポコーポレーション(東証一部:7618)が、各種デバイス合計最大10台までサポートを受けられる「ファミリーワイドプラン」等を月額1万5000円で80歳過ぎの独居老人に対して販売し、その息子から解約申出を受け、10万8000円の契約解除料を支払わせたことが、息子のツイートをきっかけとして話題となり、PCデポの株価は、約3分の1になりました(騒動の中、大株主が持株を全株売却したことも響いているようです。)。ツイートによって株価が3分の1になるわけですから凄い時代です。現代のレピュテーションリスクの大きさを感じます。

日経電子版:チャート/株式会社ピーシーデポコーポレーション《出典》日経電子版:2016.10.13

日経電子版:チャート/株式会社ピーシーデポコーポレーション

このPCデポ事件には様々な法的論点が含まれていますが、そのうちの一つに、加齢や認知症等の事情により判断能力が衰え、契約締結について合理的判断をすることができない消費者の状況につけ込んで、事業者が、当該消費者にとって明らかに不必要な契約を締結させることを法的にどのように取り扱うかという論点があります。

この論点に関して、実は、PCデポ事件に先立ち、今年の6月に消費者契約法4条4項が改正されています(平成29年6月3日から起算して1年6ヶ月以内において政令で定める日に施行されます)。改正法によれば、事業者において、取引対象である商品またはサービスの分量、回数、期間(以下「分量等」といいます。)が、当該消費者にとっての通常の分量等を著しく超えるものであることを認識していた場合には、消費者は、当該契約を取り消すことができます。特定商取引法と異なり、対象となる取引類型に限定はなく、店舗販売やネット通販も対象となり得ます。なお、消費者が合理的な判断をすることができない状況にあったことは要件とはされておらず、そのような状況にあったことを消費者が立証する必要はありません。また、「通常の分量等」とは、①商品またはサービスの内容、②取引条件、③消費者の生活状況及び④それについての当該消費者の認識などの事情に基づき通常想定される分量のことをいいます。「通常の分量等」かどうかについては、公益社団法人日本訪問販売協会(JDSA)が公表している以下の目安が参考になります。目安を超えると「過量性の認識」があったということになりそうです。

JDSA「通常、過量には当たらないと考えられる分量の目安」
 http://jdsa.or.jp/quantity-guideline/

例えば、健康食品は10ヶ月分/年、寝具は1組/年、着物は1セット、アクセサリーは1個、浄水器は1台です。

昨日(2016年10月11日)のPCデポのプレスリリースによれば、同社の9月の売上は前年同月比で23.4%減少したそうです。ノルマ達成・計画達成のために人が不正をするということはあり得ることですので、「過量契約」という不祥事の発生を予防するために適切な内部統制体制の構築を行うこと、また、消費者側の判断能力に関する要件が何も定められていないことを利用した消費者側からの理不尽な取消し等に対抗するために適切な予防策を導入することが必要になると思います。

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