事業譲渡と会社分割

M&Aのスキーム検討に関して、事業譲渡と会社分割のメリット・デメリットについてご質問頂くことが多いため、簡単な対比表を作成致しました。

ご参考にして頂けたら幸いです。

  事業譲渡 吸収分割
権利義務の承継 債務の移転/契約上の地位の譲渡について、債権者/契約当事者の個別同意が必要 個別同意は不要
潜在債務の遮断 原則として遮断されるが、①免責登記をすることなく商号(名称)を続用した場合、②債務を引き受けたと一般人に受け止められる広告をした場合には遮断されない。 吸収分割契約の具体的な記載による。
なお、①免責登記をすることなく商号(名称)を続用した場合、②債務を引き受けたと一般人に受け止められる広告をした場合には遮断されない。
債権者保護手続 不要 【分割会社】 承継される債務の債権者のうち、分割後、分割会社に対して債務の履行を請求できない債権者を対象として債権者異議手続を行う必要がある
公告と、知れている債権者に対する個別の催告を行う
【承継会社】 承継会社のすべての債権者を対象として債権者異議手続を行う必要がある
公告と、知れている債権者に対する個別の催告を行う
労働契約の承継 労働者の個別同意が必要 労働者の個別同意は不要
ただし、労働者の理解と協力を得るための労働者保護手続を履践する必要がある
なお、承継対象事業に主として従事していなかった労働者で分割契約において承継対象とされている労働者/承継対象事業に主として従事していたが分割契約において承継対象とされていない労働者には異議申出権がある
売り手における承認手続 株主総会の特別決議による承認が必要
ただし、譲渡する資産の帳簿価額の合計額が総資産額の5分の1以下である場合又は譲受会社が特別支配会社である場合は不要
株主総会の特別決議による承認が必要
ただし、承継させる資産の帳簿価格の合計額が、総資産額の5分の1以下である場合又は承継会社が特別支配会社である場合は不要
買い手における承認手続 他の会社の事業の全部を譲り受ける場合を除き、株主総会決議は不要
取締役会における承認が必要
株主総会の特別決議による承認が必要
ただし、分割対価として分割会社に交付する財産が承継会社の純資産額の5分の1を超えない場合(分割差損を計上するとき及び承継会社が全株式譲渡制限会社であって分割対価が株式である場合を除く)又は分割会社が特別支配会社である場合(承継会社が全株式譲渡制限会社であって分割対価が株式である場合を除く)は不要
株主総会において反対した株主の買取請求権 あり あり
税務面 譲渡会社では譲渡損益が発生し課税される
譲受会社では時価で資産・負債を認識する(課税なし)
課税資産の移転につき消費税が発生する
原則、分割会社では譲渡損益が発生し課税される
原則、承継会社では時価で資産・負債を認識する(課税なし)
組織行為であるため、消費税が発生しない

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